引っ越してきたおじいちゃん

うちの父には、兄がいる。

父の兄、いわゆるおじさんのうちが本家と呼ばれているところで、 うちは分家というやつだ、 よくわからないが、本家のおじさんも、おばさんも いつもつんとして偉そうで、いかにも本家って、 こういうものなんだろうなって子供のころから思って育った。

毎年、新年の挨拶やら、行事があるたびに 親戚一同、大勢、本家に集まっていろいろ伝統文化を行ってきた。

田舎のよくある由緒正しい親族ってやつだ。

家と、本家は距離的にあまり離れていないので、 おばあちゃんが生きていたころには、良く遊びに行っていた。

女学校で先生をしていたおばあちゃんは、よく、小さな自分をかまってくれた。

でも、おばあちゃんがいなくなってからは、本家と家とは しきたりだけの付き合いになっていった。

だけれど、 ある日突然、おじいちゃんが家に引っ越してくることになった。

理由は分からない、そんなこと、聞けるわけがないというような 状態だったけれど、誰もが暗黙のうちに、おじいちゃんの引っ越しを了解していた。

「おお、おっきくなったな、よろしくな・・」 と、おじいちゃんは、一声かけて、正々堂々家にやってきた。

父の書斎だった和室が、あっという間に、おじいちゃんの部屋に早変わりしていた。

こういう時、孫はどうやって迎え入れればいいのか、 お得意の伝統文化には、前例がない。

まあ、おじいちゃん見習って、気楽に構えたほうがよさそうなのは 学ばしてもらった。

おじいちゃん、よろしくな。

Link

Copyright © 1996 www.karireports.com All Rights Reserved.